薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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第1弾に、まさかの鳥益を投下してみます。鳥益は爽やか3組な初々しさで。
birth!! 「ねぇねぇ益田くん、来週の水曜日って何の日か知ってる?」 神保町の探偵事務所の上等な革張りソファから、鳥口は後方に向かって声を掛けた。 長閑な昼下がり。座り心地の良いソファに身を沈めていると眠ってしまいそうだ。 「えー?水曜日?別に普通の平日じゃない?何かある訳?」 衝立の奥のキッチンから、益田がひょいと顔を出す。右手に赤いケトル。 本来なら、この事務所のキッチンは探偵秘書兼給仕の和寅の領域である。 普段なら益田が侵入してウロウロしようものなら「ほら邪魔だ。どいたどいた」と けんもほろろに追い返されるのが常である。しかし本日、その給仕は留守だった。 「法事でね。私ゃ実家に3日ばかり帰らにゃいかん。先生のお世話を頼んだよ」 そう言い残して事務所を後にした和寅が帰還するのは明日の夕方である。 世話を仰せつかった肝心の「先生」は、糸の切れた凧と化して朝からどこかに外出中だ。 きっと中野の古本屋の座敷で猫と戯れたり昼寝をしたり、気ままに過ごしているに違いない。 そんな訳で今現在、薔薇十字社には鳥口と益田の2人きりなのである。 益田が午前中の調査の仕事を終えて、普段は榎木津に邪魔されて出来ない 「下らない仕事」の書類の整理でもしようかと思っていた所に鳥口がやって来た。 やはり取材の帰りであるらしい。肩から大きな鞄とライカのカメラを提げている。 益田は本日うるさい2人組が居ない事を告げ、ゆっくりして行くように勧めて現在に至る。 貰い物の缶入りのクッキー(これだけは勝手に食べても榎木津に怒られない)を出し お茶を淹れる為にケトルでお湯を沸かしていた。紅茶葉の良い香りが鼻腔をくすぐる。 「で、来週の水曜日がどうかしたの?」 「実はね、その日は僕の誕生日なんですよ」 ・・・サラリと言ってのけた鳥口に、益田は目を丸くした。 「え、ちょ、もう今日は金曜日じゃん。なんでそんな急に言う訳?!」 「急も何も、事実だもの。それに最近会えなかったから言う機会が無くて」 ・・・確かに、今日は実は2週間ぶりの逢瀬である。先日の山嵐騒動やら何やらで 益田は事後処理に追われ、鳥口はそれを記事にしていたせいで時間が取れなかったのだ。 「なので本日はプレゼントを貰いに来ました」 「意味分かんないし。急に来たってある訳ないでしょ」 「うへぇ。冷たいなぁ。恋人の誕生日くらい、事前に知っておかなくちゃ」 ・・・そう。何を隠そう二人は恋人同士なのだ。付き合ってもう3ヶ月が経つ。 1月に箱根で知り合い、4月に益田が上京して来て、伊豆の騒動の後に鳥口から告白した。 「益田くんが好きなんだけど」 言葉はシンプルかつストレートだった。 「益田くんが嫌じゃなければさ、付き合って欲しいんだよね」 まるで買い物にでも誘うような気軽さで。 若者らしく気楽に後腐れなく遊びまわっていた鳥口と、経験値のない益田。 「・・・別に、いい・・・けど」 そう答えるより他に、解答の選択肢がないような気がしたのも事実であった。 続。 PR |
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妄想族。
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電車で読書。
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益田は正義だと信じてやみません。若者とオッサンを幸せにする為に奮闘する日々。
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