薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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★久しぶりに益和を更新です~^^
益和は益田受けを書いていると何故か無性に書きたくなるCPです。 余談ですが、鳥益を書いていると、これまた無性に榎鳥が書きたくなります。 捻くれ者の管理人は、どうやら攻受を逆転させたくなる傾向にあるようです><; ではでは、興味のある方は以下よりお進み下さい^^ もしも益田がヘヴィースモーカーだったら萌えるなぁ、というお話(笑)。 ◆ どうせなら、「君の為だよ」とでも言ってくれたら良いのに。 【太陽と北風】 「…五本目」 ふいにぽつりと漏らされた呟きに、探偵助手の青年は小さく瞬きをした。 「へ?和寅さん、いま何か仰いました?」 「五本目だって言ったんだ。今のそれで、五本目」 ついと指を指された先には、今まさに青年の手によって 火を付けられたばかりの、真新しい煙草。 ふぅ、と旨そうに一口吸い込んで、 すぐに吐き出された紫煙は空中に溶けて消える。 「はぁ、美味いなぁ。煙草はこの最初の一口が一番美味いんですよ」 どうです和寅さんも一本、と箱を差し出されるも、 給仕の青年は素っ気なく首を横に振った。 「煙いから、吸うなら窓の方に行ってくれないか」 「えー?だって、まだ仕事の途中ですもん」 万年筆を指先で弄びながら、目の前の青年はどこ吹く風で二口目を吸う。 なるほど確かに探偵助手の青年は只今、書類書き(彼の上司曰わく、 それはこの世で最も馬鹿げた仕事の一つ、であるらしい)の真っ最中である。 彼の容姿と相まって、細く右肩上がりな文字を見つめながら、給仕の青年は眉を顰める。 「その煙草、さっき封を切ったばかりじゃないか。少し吸い過ぎなのと違うかい?」 「そんな事ありませんて。これでも刑事時代と比べたら随分と本数は減ったんです。 僕ぁ酒はそんなに飲みませんがね、これが無くっちゃ落ち着かなくて仕方ない。 このストレス多き現代社会で、こいつは多忙な現代人に無くてはならない相棒ですよ」 「なぁにがストレスだ。そんな横文字使って気取った所で、君みたいなお調子者に そんな大層な負担などあるものかね。それを言うならさっきから煙を嗅がされて、 迷惑している私の方がよっぽどストレスが溜まるってもんだ」 そう言って給仕がわざとらしく咳払いをして見せるも、 吸っている当の本人はどこ吹く風である。 「吸わないから余計にそう感じるんですよ。吸ってしまえば煙なんてのは 案外気にならないものなんです。和寅さんも一度試してみたら良いんだ。 意外と癖になったりして」 「お断りだよ。私ゃ昔、先生に無理やり吸わされて酷く噎せてからすっかり懲りたんだ。 それにそんな物を吸ってたら舌が鈍って料理の味見も出来なくなっちまう。 煙草なんてのは身体に悪いわ煙は臭いわ空気は汚すわで百害あって一理無しだ。 私ゃ肺癌になって死ぬのは御免だよ」 差し出された一本をにべもなく断りながら、ああ机に灰を落とさないでくれよ、と すかさず吸い差しの煙草に灰皿を差し出す。 ここで彼らの雇用主なら躊躇せずに吸い殻を押し付けて揉み消してしまう所だが、 助手の青年は決まって根元ぎりぎりまで吸うのが常だった。 「…君ね、そんな根元まで吸うと益々もって身体に毒だぞ」 「だって、勿体ないじゃないですか。煙草だって近年高いんですよ? たかだか一口か二口でシケモクにしてしまうようなお大臣な吸い方は、 我々庶民には到底出来ませんよ」 「高い金払って身体に障ってちゃ目も当てられないな。 いっそ禁煙したらどうだい。煙草代は浮くし健康になれるしで言う事ないぞ」 「和寅さん優しいなぁ。そんなにも僕の身体を気遣って下さるんですね」 やぁ嬉しいなぁ愛を感じちゃうなぁ、とわざとらしく身を捩る姿を 呆れたような眼差しで見つめつつ、助手の手から煙草の箱をひょいと掴み取る。 「別に君の事なんてこれっぽっちも気遣っちゃいないけどね、先生と二人して ぷかぷかやられたら壁もカーテンもヤニだらけになっちまって敵わないよ。 全く、二人して掃除なんかしやしない癖に汚すのばっかり一人前なんだから。 少しでも申し訳ない気持ちがあるのなら、いっそ潔く止めて欲しいね」 「えぇー?この事務所がヤニ臭いのは僕だけのせいじゃないでしょう。 あの探偵閣下は元より、本屋の先生も鬱病の作家先生も、幼なじみの鬼刑事殿も 自称貿易商のお友達も、皆さん揃いも揃って愛煙家でしょう。 鳥口くんや青木さんだってそうだし。ここで煙草を吸わないのは貴方と、 偶に訪ねて来る敦子さんくらいのもんだ。僕ばっかり吸うなと言われちゃ不公平ですよ」 “これっぽっち”の度合いを示す為に、左手の親指と人差し指を ほんの僅かだけ開いて見せた相手にあからさまに落胆の表情を浮かべつつ、 青年はぶつぶつ言いながら再び煙草の箱を我が手に取り戻す。 「だぁって、これが無いと口寂しいんですもん。急に止めろったって… あ、それともあれです?和寅さんがその口寂しさの軽減に 協力して下さるってんなら話は別ですよ。さぁ、どうなさいます」 僕の為を思うなら、もちろん協力して下さいますよね?と片眉を上げて己の頬に 手を伸ばさんとする相手の指先をやんわりと握り返して、給仕の青年は机越しに 身体を寄せる。そしてすっかりその気になっている相手の耳元に、己の口唇が 触れるか触れないかのぎりぎりまで近付けて、 「―――知ってるかい? 煙草は吸い過ぎると精力が減退して、若くして“不能”になるらしいぜ」 …まぁ、君がそうなっても私ゃ一向に構わない、否、むしろ大歓迎だがね。 それでも良ければこれからも思う存分吸い給えよ。 そう言ってさらりと身を翻す給仕の姿を 呆然と見上げた助手の青年は、極々小さな声で 「た、煙草止めようかな…」 そう呟いてがっくりと肩を落とし、それを背中越しに聞いた給仕の青年は、 それより更に小さな声で「作戦成功」と呟いたとか呟かなかったとか。 先程のアドバイスが単に自身の嫌煙から来るものだったのか、それとも助手に対する 彼なりの愛情から来るものだったのか―――その答えは給仕の青年のみぞ、知る。 (了) ※メンソール煙草を長年吸い続けると、精力が減退する事があるそうです。 PR |
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自己紹介:
益田は正義だと信じてやみません。若者とオッサンを幸せにする為に奮闘する日々。
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