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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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★これにて完結!!当時、自分の中で沸き起こった「顔○ブーム」は
後にアップした「Vanilla~」に繋がって行きます^^;どんなブームだ。

ここまでお付き合い下さった皆さま、本当に有り難うございました・・・!!











「あのですね、榎木津さん。自分で言うのも何ですけど、こんなどこの馬の骨とも
 知れない若造が突然押し掛けて来たって、普通は雇ったりしないもんです。
 まぁ…榎木津さんは一応僕の前職をご存知だから、そこまで不審には
 思われなかったかも知れませんけど…でも、だからこそ普通は安定した職を
 捨てて探偵なんて何の保証も無いヤクザな稼業に転職しようなんてのたまう若者が
 転がり込んで来たらですね、普通なら怪しんで速攻追い返すもんです。
 こいつ、何企んでやがるってね。僕が榎木津さんの立場だったら
 間違いなくそうしますよ。とてもじゃないけど信用出来ませんもの」
「本当、自分で言ってちゃ世話ないね」
「ですよね。今でこそ榎木津さんの“視る力”の存在を知ってますけど、当時は何で
 こんなあっさり…って拍子抜けしたもんです。まぁ、のっけから事件に巻き込まれて
 お互いよく考える暇も無かったと言ったらそれまでですが。ピアノが弾けるからって
 僕が怪しくないなんて保証はどこにもないでしょう?貴方の寝首を掻く為に、
 僕が内心で悪辣な姦計を練っているかも知れないし」
「お前に僕が騙せるとでも?出来っこないね。一万年早い」
「はい。僕もそう思います」

ふふん、と鼻で笑う榎木津を見て、益田は当然とばかりににこりと微笑ってみせる。

「榎木津さんの持ってるものは…確かにどれも素敵だし、僕には一生掛かっても
 手に入れられないものばかりです。でもね、それは貴方が持ってるからこそ
 様になるのであって、仮に僕が手にしたってちっとも似合わない。
 だから僕は―――そんなものより貴方が、榎木津さんの方が欲しいです」

忙しなく手を動かしながら益田は、ちゅ、ちゅ、と榎木津自身を心から愛おしむように
充血して潤む先端に何度も口吻ける。

「貴方は僕をここに置いて下さるし、ご自分の傍にも置いて下さいます。
 僕が本当に邪魔ならいつだって蹴り出す事も出来るのに…貴方はそれを
 なさらなかったでしょう?貴方は最後に必ず僕の望みを叶えてくれる。
 そんな榎木津さんの事、僕が裏切れる筈ありませんよう。
 それに…貴方はいつだって御自分の選択眼に自信をお持ちでしょうに」
「ンっ…当たり、前だ。僕の裁量は絶対、だぞ」

益田の愛撫に反応して榎木津は鼻に掛かった声を出す。部屋には
くちゅくちゅと濡れた音が響き、溢れた先走りが手首まで伝い落ちる。
あと一息だ、そう思った益田は張り切って手の動きを一段速くする。

「でしょう?だったら尚更ですってば。だから…もう我慢しないで、て!わぁッ!」

いいんですよ、そう言おうとした瞬間、白い飛沫が前触れもなく吹き上がり、
益田はそれを顔にまともに食らってしまった。前髪から顎にかけてドロリと
滴る体液に益田は驚いて目を見開く。

「ちょっ…!出るなら出るってちゃんと予告して下さいよぉ!目に入ったらどうするんですか」
「うるさいッ!生意気な下僕には天誅だ!」

ああもう、びしょ濡れじゃないですか、と頬を濡らす精液を掬い取ろうとした益田の指を
制止して、榎木津は身を屈める。てっきり労いの口吻けをされると思った益田は
反射的に目を瞑るが、そんな予想に反して榎木津は益田の鼻っ面にがぶりと
思いきり噛みついた。まさかの展開に益田はギャッと叫んで赤くなった鼻先を押さえる。

「あいだだだッ!もうっ!さっきから何なんすか!」
「あはは、マスカマ涙目。ナキマスカマだ」
「本当に何なんですよ…今日の榎木津さん、いつにも増して変ですってば。
 何か変わった物でも食べました?」

榎木津の突拍子のない言動には普段から慣れていたつもりだが、
ここまで脈絡がないのは初めてだ。しかし当惑する益田を余所に、
当の榎木津はどこ吹く風で愉快そうに笑っている。

「もう、何笑ってるんですか!何も可笑しい事なんて無いでしょう!」
「だって、本当にそっくりだぞ、お前。
 顔は真っ赤だし顎は尖ってるし、おまけに僕ので白く濡れてるし」
「だから何に…」
「練乳苺。僕の大好物」
「えぇー?」

さらりと言ってのけた相手の言葉に驚くやら呆れるやらで、
益田は思わず変な声を出してしまった。

「もう…何言い出すんですよ」
「あんまり似てるから試しに噛じってみたけど美味しくなかった」
「あ、当たり前でしょ!これで甘かったりした日には立派な病気ですよ!
 お医者さまに診て貰わなくちゃ…!」
「全く、キャンキャン煩い奴だなぁ」
「あ、貴方がそうさせてるんでしょうに!」

もう、訳わかんないにも程がありますよ、勘弁して下さいって。
ぶつぶつ言いながら手元のちり紙を引っこ抜き、ゴシゴシと顔を拭おうとした益田だが、
その手を榎木津に制止されて思いのほか優しい手付きで濡れた頬を拭き取られた。
そしてそのまま腕を引かれて榎木津と向かい合う形で膝の上に座らされる。

「気持ち良かった。ありがと」
「あ、いえ…」
「だから今度はお前の番ね」
「ひゃ…っ、んぅ…」

先刻から爪先で刺激され続けて半端に熱を持った中心を榎木津の手によって
明確な動きで愛撫され、益田はぶるりと肩を震わせる。

「あっ…あ、やぁ…」
「僕は、欲しいものは自力で手に入れる。
 無いなら自分で創り出すし、欲しければ傍まで手繰り寄せるよ」
「ンっ…はぃ…ふ、あぁ…」
「お前を苺に見立てたって、ちっとも甘くないし腹の足しにもならないけど、」
「ぁんっ!はぁ…あ、くぅ…」
「僕は、こっちの方がいいや」
「んン、えの、木津さ…!」

ぎゅう、と全体を握り締められて呼吸が止まる。その強い刺激に
絶頂感がぞくぞくと背筋を駆け上がり、堪らず榎木津の肩に
縋り付くとあやすように腕の中に抱き込まれた。

「僕は、嘘を吐かれるのも裏切られるのも下らない策を練られるのも好きじゃないよ。
 お前が僕の弟子になりたいと言って此処に転がり込んで来た時、お前はその手に
 何も持っていなかったし飛びきりの考えなしだったけど…それでも後ろ手に
 何か隠し持って下心で近付いて来られるよりはよっぽど安心出来る。だからお前は、」
「あぁ…ッ、や、も、駄目ぇ…」

ぐちゅぐちゅと響く厭らしい音に鼓膜まで犯される。
榎木津は向かい合う姿勢で悶える益田の腰を抱き寄せると、耳元でこう囁いた。


「―――お前は、僕が望む限り、ずっと僕の傍に居りなさい。いいね?分かったら返事」
「は、い…ッ!僕は、ずっと、榎木津さんの…!」
「よし。じゃあ達かせてあげよう」
「ふあぁッ!あッ!あぁ…」

先端にカリ、と爪を立てられて益田は榎木津の手の中で呆気なく精を解き放った。
榎木津の指先からぱたぱたと滴り落ちる白い体液をぼんやりと眺めながら、
益田は漸く訪れた開放感にふぅ、と大きな溜め息を吐く。

「気持ち良かった?」
「は…い」
「ここで終わりにする?それとも…」

――最後までする?
そんな魅惑的な誘いに益田はコクコクと首を縦に振りたくった。

「うふふ。お前、最初は全然乗り気じゃなかった癖に」
「だってそれは…」
「お前の好きな書き物仕事が益々遅れるよ。それでも良いのか?」
「もう、意地悪云わないで下さいよう」

今更、ここまで焚き付けられて涼しい顔で机になど戻れない。
そう半ば開き直り、榎木津のシャツのボタンを全て外してやった。
それに益田は太股に当たる榎木津自身が既に臨戦態勢に入っている事にも
気付いていた。この美しい人が欲しがっているのは紛れもなく自分なのだ。
その事実が嬉しかった益田は、甘えるように榎木津の首筋に鼻先を擦り付けた。

「僕だってそこまで聖人君子には成りきれませんよう。…それに、昔から
 果報は寝て待てって言いますでしょう?じきに和寅さんがお土産の苺を
 どっさり持って帰って来てくれますから。だからそれまでは僕が精一杯、
 代理を務めさせて頂きます。…ね?」

(僕は貴方が望む限り、いつまでも貴方の傍に居たい。
 僕は、いつまでも貴方に望まれる者でありたい)

ぴちゃ、と小さな濡れた音を立てて口唇を舐められると、蕩けるような歓喜に
背筋が粟立った。負けじと口吻けて相手の舌先を甘噛みすると、
より一層の強さで舌を絡め取られる。今の益田にとっては
前髪を梳かれる指先の動きさえ快感の伴う愛撫だった。

「榎木津さん…すっごく、悦い、です…。
 求められながらするって、ン…こんなに、気持ち、良いんですね」
「何だ、そんな事も知らなかったのか」
「あ…どうしよ、本当に気持ち良く、て…」

(貴方が僕に与えてくれる分、僕も貴方にきちんと返せれば良いのだけど、)

愛撫も、愛情も。

「お前、自分が苺の代理だって?」

ふん、と鼻に抜けるような声を出し、榎木津は益田の耳朶に口唇を寄せる。

「―――だったら僕は、甘くない苺の方が好みだったって訳か」

その言葉に目を見開いた益田は、続いて「さぁ、僕を満足させてみせなさい」と囁いて
不敵な笑み浮かべる榎木津の目をしっかりと見つめ、その美しく弧を描いた口唇に一つ
誓いの証をそっと落とした。

「あ、その…代わりと言っては何ですが、」
「うん?」
「終わったら…書類書くの、手伝って頂けません?」

何もかも片付いてからの方が、“本物の方”も美味しく食べられると思って。
この期に及んで現実的な提案をした益田に榎木津は小さく笑うと、

「それは、お前の働き次第だね」

そう言うと榎木津は益田の頬に、今度は思いきり噛みつく真似をして見せた。



(了)
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益田は正義だと信じてやみません。若者とオッサンを幸せにする為に奮闘する日々。
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