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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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★約2年前に書いた、ほぼ原文のままで載せてあります^^;
語尾にやたらと「~である」「~だったのだ」が連発だったので
そこは少々直しましたが><;それにしても誤字脱字が酷かったww













突然の事態に大層驚いた益田は、慌てて目を見開く。

「なッ!何なさるんですよ、榎木津さん!」

益田は狼狽して声を上擦らせたが、当の探偵閣下はどこ吹く風だ。

「何って何だ。僕が何かしたかい?」
「あ、足!靴が当たりましたよ!」
「そんなものは偶然だろう。僕はお前と違って脚が長いんだ。組み換えた時に
 偶々お前の体に当たった所で何の不思議もないだろう。
 そんな事でいちいち喚くんじゃないよ、狭量な奴だなぁ」

何が偶々だ!思いっきり足を伸ばさない限り、こんな所に足が当たるもんか!
…そう喉まで出掛かっても口には出せない益田である。

「そんな事よりお前は書類書きが終わらないんだろう?
 お前の大好きな書き物仕事だ。気が済むまで好きなだけ書くと良いよ」

探偵は涼しい顔でそう言うと、再びフイとそっぽを向いてしまう。
榎木津に揶揄れる事に慣れている益田は諦めの溜め息を吐いて、
書類の束に目を向け直す。

しかし、

再びグッと探偵の足が悪戯に割り込んで来る。今度は偶然ではなく明確な意図を持って。

ゆっくり益田の形をなぞるように動く爪先に、太股を閉じる事でガードしようと試みるが、
それより強い力で割り込まれて結局は徒労に終わってしまう。しばらく不毛な攻防を
続けていた益田だが、これではいつまで経っても仕事にならない。いくら探偵の戯れに
付き合わされる事は慣れっこだとは言えども、この仕打ちは少々タチが悪い。
真面目に仕事がしたい益田は、ついに我慢の限界を越えて声を上げた。

「あの、榎木津さんッ!本当に止めて下さいって!
 悪ふざけも大概にしないと、いくら僕だって怒りますよ!」

細い眉と吊り目の自分が怒れば、それなりに怖い顔になる事を益田は知っている。
だからこそ常日頃から相手に冷たい印象を与えないように、益田は顔に
へらりと笑みを湛える努力を怠らないのだが。

精一杯怖い顔をして“僕は怒ってますよ”とアピールをしてみるが、当の榎木津自身は
歯牙にも掛けない。榎木津にとって益田の怒りなど、全く大した事ではない。
小さなネズミがいくら怒った所で百獣の王であるライオンにとっては痛くも痒くもないように、
蚊に刺される程度の取るに足らないものでしか無いのだ。

「…本当に止めてもいいのか?」
「あ、当たり前じゃないですか。これじゃ仕事に集中出来ませんよう…」

ここでいつも通り榎木津が尊大で横柄な態度に出てくれれば、益田とてそれなりの
返しようもあるのだが、このように普通の態度で出られると途端にトーンダウンしてしまう。
なんだかんだ言って押しにも引きにも弱い益田である。
榎木津はニヤリと意地の悪い笑みをたたえ、「ふぅん」と鼻に抜けるような声を出した。

「本当に、止めても、良いん、だな?」

言葉の抑揚に合わせてツッと爪先が上下する度に益田は
「んッ」とか「やッ」とか上擦った声が漏れてしまう。

「だから…何度も、言ってるじゃ、ないですか。タチの悪い…冗談は、止めて、下さいよ…」
「…でも、お前の此処はとっくに冗談じゃ済まない事になっているよ」

三度、意地悪な笑みを浮かべて揶揄する探偵に益田はウッと言葉に詰まった。
榎木津に指摘された通り、益田の其処はじんわりと熱を帯び、少しずつ
ズボンの前が窮屈になって来ている。

(靴でちょっと刺激されただけでこんなになるなんて最悪…!)

情けないやら悔しいやらで益田は叫び出したい気持ちになった。
自分はただ、真面目に探偵助手の務めを果たしていただけなのに。
そう思いつつ、こんな事くらいで易々と兆してしまうなんて、
自分はやっぱり変態なのかも…と少し落ち込んだ。

「言っただろう。僕は退屈なんだ」

そんな益田の心中を知ってか知らずか、榎木津は屈託のない笑顔でこう言った。

「だから、僕と遊びなさい。いいね?マスヤマ」



「んっ…ふ…」

口吻の合間に下唇を噛まれると、益田の背がふるりと震えた。舌先を吸われながら
榎木津の指の長い大きな手で腰を撫で回され、益田の身体からストンと力が抜けると、
崩れ落ちないようにそのまま膝の上に抱き上げられた。

「ふぁ…んぅ…」
「キスだけでこんなに感じてるのか」
「あ…だって…」
「ふふ。隠さなくていいよ」

榎木津の口吻けはいつだって巧みだった。お世辞にも経験値が高いとは言い難い
自分がこんな事を言うのはおこがましいかも知れないけれど、触れた先から
蕩けてしまいそうな心地良さを榎木津から与えられる度に、益田はいつもそう思う。

誘われて始まる口吻けは冬の朝の二度寝の気持ち良さにも似て、このままこの流れに
身を委ねたい本能と、僅かばかり抗う理性とが頭の中で小さく衝突を繰り返している。
流されてしまうのはとても簡単なのに、自ら積極的になるには勇気が足りなくて、
もじもじしている内に睡魔に取り込まれるが如く相手の起こした波に浚われてしまう。
そうして一度爪の先まで飲み込まれてしまえば後は、夢見心地の甘美なひと時が
両の手を広げて益田を待っていた。

(なぁんか、こういう時の榎木津さんて結構優しいんだよなぁ…)

くちゅ、と濡れた音を立てながら益田は榎木津の髪にそっと指を絡ませると、
香しい舶来物のシャンプーの匂いがした。シャツの隙間から忍び込んで来た
手によって薄い胸を撫で回され、益田は思わず相手の肩にしがみ付く。

普段は同じ空間に身を置いていても相手の身体に触れる事など
殆ど無いと云うのに、一度抱き合ってしまえばこれが当然とばかりに
益田の肌の感触を余す所なく確かめようとする榎木津に、
益田は何だか擽ったい気分になった。

(榎木津さん、そんなにしたかったのかな…?
 だったら、素直にそう言ってくれたら良かったのに)

普段から体温の低い自分とは異なり、榎木津の身体はとても温かい。
向かい合って抱き合ったまま、口唇を合わせている心地よさに酔いしれそうになる。
このまま2人、この温かな歓びの中でゆらゆらと揺れていたい。
益田が半ば本気でそう思い始めた頃、相手の悪戯な指先がスラックスの上から
益田の形をなぞるように降りて来た。ゆっくりと上下に這わされる指先に、
益田はクッと息を呑む。肩越しに、榎木津のうふふと笑う声がした。

「お前の、もうこんなになってる」
「だって、これは榎木津さんが…」
「これじゃあ、仕事にならないね」
「だって、それは榎木津さんが…」

益田が何を言った所で、今の榎木津はただ楽しそうに笑うだけだ。
熱を持ったそこを何度も緩くなぞられて、益田は息が上がってしまう。
お返しとばかりに榎木津の事もスラックス越しに触れてみるが、そこはまだ
何の反応も示しておらず、自分から仕掛けた癖に当の本人だけが
涼しい顔をしていて憎らしい。益田は自分ばかり余裕を奪われるのは堪らないと
相手のベルトに手を掛けてファスナーを下ろそうするが、それは伸びてきた
榎木津の手によって簡単に阻止されてしまった。

「駄ぁ目」
「あ、でも…」

僕ばっかり、と言いかけた口唇を長い指で辿られる。
榎木津は含みを持った笑みのまま、益田の口内に人差し指を一本差し入れると、

「どうせなら、こっちが良い」

そう言って、2人分の唾液で濡れた自身の口唇をぺろりと舐めると、
榎木津は優美に微笑んだ。

「口でして。マスヤマ」
「あ…はい」

榎木津の言葉を受けた益田は、するりと床にその身を置くと、
従順な手付きで相手の前を寛げた。



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電車で読書。
自己紹介:
益田は正義だと信じてやみません。若者とオッサンを幸せにする為に奮闘する日々。
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