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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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★この第2話は『START DASH』のもりれい子さまより寄稿して頂きました。
そりゃもうビックリするくらい萌え滾るので是非ともご一読下さい・・・!


※カテゴリーに「郷×斉」を追加致しましたので、次回からそちらをご利用下さい^^










ざー…っと降り落ちる飛沫を手で受ける。
あえて右から3番目のシャワーを選んだのはひとつの賭けで。
体洗い終わるまでにこれがお湯に変わったら…このまま逃げちまおうかな。
だけど爪先を冷たく濡らす飛沫は、もうそろそろ泡を流したいんだけどという所まで来ても
温まる気配もなかった。



部屋に戻ってきたオッサンは、我が物顔で布団の上に胡坐をかくと、
タオルをばさっとこっちに投げつけた。

「これで文句ねえだろ」
「あ、う…」
「行かねえのか。ならこのままやるぞ。俺の方はなんの異存もないからな」
「行ってくる!」

タオルを掴んで部屋を飛び出す。あのままだと間違いなくそのまま押し倒されてた。
向こうだけきれいになっててこっちは汗臭いままなんて、そんなのは我慢ならなかった。
さっき咄嗟に口から出てしまったのは嘘じゃない。
汗まみれ、埃まみれのまま抱き合うなんて…考えただけでもぞっとする。
ただでさえ…洗ってたって触りたくもないような場所、使うんだぞ!?
そんなの無理だろ!無理無理!

廊下の途中で足を止める。
このまま風呂行って、身体洗って、…その、使うとこもきれいにして、で、帰っていったら、
そんなのもう、準備万端、さあ抱いてくださいと言ってるのと同じことだよな。

…逃げちまおうかな。

服着たままだから、財布もある。帳面もある。明日の行動には支障はない…はず。
このまま逃げちまっても、いいんじゃねえの?
しばし迷って、風呂場に足を向ける。

「…とりあえず風呂は入るか…」

汗を流したいのはたしかだし。誰かの部屋に転がり込むにしても風呂には入っときたいし。
ちょっと、頭冷やしながら、考えよう。うん。

ざー…っと降り落ちる飛沫を手で受ける。
あえて右から3番目のシャワーを選んだのはひとつの賭けで。
体洗い終わるまでにこれがお湯に変わったら…このまま逃げちまおう。
手拭いにせっけんを擦りつけて身体を擦る。
あ、今日ぶつけて傷になったとこ、痛ってえ、けっこう沁みるな。
腕、洗って、胸とか背中とか、順番に洗って、足まで。

…どっからどうみても普通に男なんだけど。

なんであいつ、勃つんだろう。
なんでこんなの、抱きたいと思うんだろう。
指先から、ふわっときつい煙草の匂い。さっき吸殻消した時についた匂い。
郷嶋の、匂いだな。
鼻からの刺激がそこに直結した瞬間、身体の奥に、ぼっと火が点った気がした。
俺こそなんであんなオッサンにおとなしく抱かれてんだよ!
なんでこんな一生懸命抱かれる準備してんだよ!バカか!

「ああもう!」

手拭いを放り投げて思わず蹲った頭上からざあざあと降り注ぐシャワー。
冷たい飛沫は、もうそろそろ泡を流したいんだけどという所まで来ても、温まる気配もなかった。

「なんだそりゃ。ちゃんとふけよ」

ほら。とぐいっと引っ張られて目の前に座らされて、
ぽたぽた雫を落としている髪を乱暴にタオルで拭われる。

「よく逃げずに帰ってきたな」
「………」

タオル越しによしよしと子どもにするみたいに撫でられる。直後、ぐいっと
引き寄せられて、とても子どもにはお見せできないような勢いで唇に喰いつかれる。

「う…っ、ん、ん」

ああ、煙草の匂いだ。人の部屋で、遠慮もなくあの臭い煙草、吸ってたな。
舌越しに感じる煙の味は、直接吸うよりも柔らかくて、これくらいなら俺でも吸えそうだと思う。
どさっと倒されて、覆いかぶさってくる身体から、せっけんと、汗と、煙草の匂い。
頭も洗って来いよ。一番汗臭いとこじゃないか。
別々に考えれば、絶対に混ぜてほしくない要素だけど、その3つが鼻先に
混じりあってるのは、不思議なことにそんなに嫌じゃない。
嫌というよりむしろ──

「ずいぶんおとなしいな。さっきの勢いはどうした」
「あんた、抵抗した方が喜ぶだろ。誰がそんなサービスするか」
「言うじゃねえか」

細かい手順はすっ飛ばして一番奥に伸ばされた手が一瞬止まる。

ふうん…と目を細めて見下ろしてくるのを、なんだよ、と負けずに睨み返した。
「明日もあるだろうから今日は入れずにおいてやろうかと思ってたんだがな」
「え…」
「ここまで準備されてきたんじゃあ中途半端なことすんのは逆に失礼だよな」
「ちょ…っ、と…っ」
押し返そうとした腕は、いきなり指を深くまで突っ込まれてかくんと力が抜ける。
「やる気だったんなら最初からそう言えよ。なんだありゃ。さっきのは。焦らしプレイか」
「バカ、か…っ、なんであんた相手に、そんなこと…っ」
「そこまで求めていただいて光栄だがな。
 俺も明日に響いちゃまずいんでな。まあお互い自重しようぜ」
「求めてねえし…!」

よく言うぜ。そもそもあんたが自重しとけば俺まで一緒に
自重するような破目に陥らなくてすんだのに。

「ああそうだ。忘れてたよ」
「…?」
「あいしてるよ」
「!?」

くっくっと喉を鳴らして笑う郷嶋に、俺はただもう、金魚みたいに口をぱくぱくさせるしかなくて、
その、心なんてこもってなさそうな言葉の持つ意外な威力と、混じりあうこいつの匂い
、それに落ちてきたキスと身体の中に直接放り込まれる刺激にヤられて。

明日、絶対響くわ、これ。

頼むよ俺。若いんだからがんばってくれ。
そう、自分の若さに祈るように頭の中で呟いて。
郷嶋の首に手を回して目を閉じた。



(作:もりれい子さま)


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益田は正義だと信じてやみません。若者とオッサンを幸せにする為に奮闘する日々。
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