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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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★いつの間にやら奇数話→林檎、偶数話→れい子さん執筆のリレー小説に^^;
以下、ぬるい性描写ありですのでご覧になる際はご注意下さい・・・!!









「くッ…う、あぁ…!」
「ここか?」
「あ…聞くな…!」
「まぁ聞かなくてもバレバレだけどな。分かりやすいんだよ、お前は」
「う、るさい…ッ」
「その憎まれ口がいつまで保つ事やら」
「んあぁ…ッ!」

無遠慮に突っ込まれた指で無遠慮に中を掻き回され、
俺はみっともなく裏返った声を上げながら目の前の男の首に縋り付いた。

今さっき冷たいシャワーを浴びたばかりにも関わらず、俺の体はじわじわと
熱に浸食されて行く。郷嶋は俺のそんな様子を愉しむように、中に差し入れた
指の角度を変えながら微かに笑う。

「お前、本当にここが弱ぇのな」

それでもその口調は別に俺を馬鹿にしている訳でもなく、むしろ感心したような口調で。

「今が戦争中だったら、お前みたいのは確実に上官の稚児にされてたぞ。運が良かったな」

俺には具体的にどこが運が良かったのか分からぬまま(今だって決して
幸運な状況とは言い難いのに)太い指が中を出入りする感覚だけを妙に
リアルに感じ取って、酸欠みたいな浅い息を吐いた。

(戦争中は、まだ毛も生えてないガキだったっつーの…!)

「お前、なかなか具合がいいからよ。軍隊なんかじゃ確実にオンナにされてたぞ」
「るせぇよ…!この、変態…!」
「言うじゃねぇか。じゃあ、その変態に抱かれて前ガチガチにしてるお前は何なんだよ」
「ひっ…ッ!」

郷嶋は何の前触れもなく俺の前に手を回すと、絶妙な力加減で俺自身を擦り上げる。
俺は堪らなくなって身を捩るが、そんな事でこの男が手を緩める訳もない。濡れた音を
立てながらピッチを上げて扱き立てられ、俺は自分の頬が急激に上気するのを感じた。

「やっ…ふ、あぁ…ッ!」
「お前…随分とお手軽な体だな。一人で抜く時もこんななのか」
「違…ッ!」
「ちょっと弄られただけで、こんなビンビンにおっ勃ててまぁ」

エロ親父全開な台詞を吐きながら手を上下にスライドさせる郷嶋に、俺は思うさま
罵倒の言葉を浴びせてやりたいのに、口唇から溢れ出すのは意味をなさない音ばかりで、

「ふぁ…あぁ、う、やッ…」
「前擦られて、中もドロドロに熱くなってんのな。奥、掻き回すと凄ぇ締め付けて来る」
「る、せぇよ…実況中継すんな…ッ」

(生理現象だよ馬鹿野郎!俺はテメェと違って若いんだよッ!)

そう言ってやろうとした瞬間、中の敏感な所をグリ、と擦られて呼吸が止まる。

「ここ、悦いんだろ」
「ん、やだ…エロい事すんな…!」

そんな俺の言葉に、郷嶋はクックッと肩を震わせて

「お前なぁ、セックスの最中にそれはねぇだろ」

お前、面白い事言うなぁ。
そう言って奴は心底おかしそうに笑った。

(あ…コイツ、こうやって笑うんだ…)

相手を皮肉る時に見せる嘲笑でも、見下した相手に見せる冷笑でもない、素の笑い方。
笑うと目尻に皺が寄って、少し柔らかい印象になる。
コイツの笑う顔なんて初めて見た。

『あいしてるよ』

ふいに、奴に先ほど言われた台詞が脳裏に浮かび、俺は首を振った。
違う違う、あれはコイツのいつもの冗談だ。
そこに深読みするような裏側も真意もある訳がない。

―――でも。

“アイシテル”なんて、誰かに言った事も言われた事も無ぇよ。
ちょっと前まで、世の中それ所じゃなかったし。


(あの子になら、言えたのかな…)

俺にだってそれなりに好きな子は居たんだぜ。ちゃんとキスだってしたんだ。
本当に本当に好きだった。笑顔が可愛い、三つ編みの似合う女の子。
俺の初恋の女の子。
・・・戦争で死んじゃったけど。


(青木さんは…?)

俺の憧れの人。
いつだって冷静で、頭の回転が早くて、上からも期待されてる、俺が目標と決めた人。
不用意に触れたり、ましてや邪な気持ちを持つ事なんて許されないような清潔な人。

俺が毎日こなしてる仕事なんて、あの人にとっては警視庁に戻るまでのちょっとした
「罰」でしかなかった事もちゃんと知ってるけど。警視庁と比べたら、どうせ交番なんて
大した事件は起こらないし。財布を落としたの拾ったの道に迷ったの何だのって、
派手な出来事なんか一つもありゃしない。当然、華々しい出世なんか望むべくもない。

まぁ、俺はそんな野心家じゃないから別にいいんだけど。
そりゃ確かに金も保証も無いよりあった方が良いけどさ。
それでも共に過ごした時間は俺にとっては掛け替えのないものだった。
俺に“人を好きになる”って感覚を久々に思い出させてくれた人。


(じゃあ、コイツは?)

なんで俺、このオッサンに素直に抱かれてやってるんだろう。
なんでこのオッサン、俺なんか相手にちゃんと勃つんだろう。


(なんで―――?)

答えなんか、いくら考えたって出るはずないの、分かってるけど。

「おい、どうした?」
「え…?」

ふいに頭上から怪訝そうな声が聞こえて、俺はハッとした。
見れば郷嶋のオッサンが眉をひそめて俺の顔を凝視している。

「散々悦がってた癖に急に黙り込んで。まだ気を遣るには早いぞ」
「な、何でもねぇよッ」

俺は慌てて意識をこちら側に戻すが、郷嶋は大して気にしてもいない風でベルトの前を
寛げ自分のものを取り出すと、俺のものと己のそれとを重ね合わせて手の中に握り込んだ。

「あッ…なに…?」
「何じゃねぇよ。今日は挿れねぇって言っただろ」

自重だ、自重。明日響いたら困るだろ。
オッサンは自分に言い聞かせるようにそう云うと、ゆっくりと手の動きを開始させた。

「あっ、ん、んぅ…!」
「おい、人にばっかりやらせてねぇで自分で動け。気が利かねぇな」
「わ、かってるよ…!指図すんなッ!」
「ほら、しっかり手ぇ動かして腰振りな」

奴は俺の手を取って2人分のものを握らせると、俺の中に入りっぱなしだった指を
ぐるりと円を描くように動かした。

(そう言えば指、突っ込まれたままだった…!)

前と後ろを同時に刺激されて、じくじくした熱が下半身に集中する。
俺が腰を動かして自分達のものを手の平に擦り付けるようにすると、
郷嶋のオッサンが突然覆い被さってきて噛み付くように口吻けられた。
無遠慮に舌で口の中を掻き回されて唾液が滴るが、オッサンはそれすらも
素早く舐め取ると今度は更に深く深く口唇を重ね合わせた。

(抱き合いながらキスとか、何だかこれって…)

キスの合間に、必死に溺れるような呼吸をして。

(なんか、好き同士のセックスみてぇ。・・・違うけどさ)

「やっぱ、使ってねぇと色も綺麗だな」
「る、せぇな…!余計なお世話だッ」

俺の思考を遮断する、その揶揄うような口調に俺はムキになって反論する。
血管が浮き出てドクドクと脈打っている凶器さながらのオッサン自身と、
はち切れんばかりに成長した俺自身では、やはり外見的にもかなりの差があり、

(テメェがヤり過ぎなんだよ…ッ!この見境なしの絶倫野郎!!)

そう反論してやりたいのはやまやまだったが、どうせ「これだから童貞は」とか
何とか言われておちょくられるのがオチだから俺は黙っていた。
・・・実際、その通りだし。

ぶっちゃけ、俺はコイツ以外と“こういう事”をした事がない。
前述の通り戦争でそれ所じゃなかったし、俺もまだガキだったし。

だから俺にとって、あの忌々しい壊れた便所での体験こそが、全ての始まりだったのだ。
あの時は本当に最悪で(出来れば記憶から抹消したい位だ)、終わった後の俺は
歩く事はおろか立つ事さえ侭ならず、血と精液でぐちゃぐちゃになった俺の下半身を
備え付けの紙で乱雑に拭ったオッサンは一言、

「お前、家どこだ」

と聞き、俺が半ば投げやりな口調で告げた下宿の所在地まで、なんと自分の車で
送ってくれた。車内ではお互い一言も口を利かなかったけど、降り際にこのオッサンが
「じゃあな」なんて言うものだから、釣られて俺も「あ…うん」と間抜けな返事をしてしまった。

別に、あの時俺を送ってくれたのは、無理やり犯した(男同士だから強姦にはならないけど)
俺に罪の意識を感じた訳じゃなくて、あのまま俺を便所に放置して帰ったら、自分の所業が
明るみに出て立場が悪くなると思っての行動だったのかも知れないけど。

でも、奇妙な事にそれからの俺達はそのまま成し崩しな関係になり、
何だかんだで今日まで来てしまった。
コイツにとっての俺は、ていの良い性欲処理の相手でしかないんだろうけど。

(…じゃあ、なんでキスなんかするんだ)

比較対象や経験値の無い俺は、それが一般的に普通なのかどうか分からないけど。

(キスは普通、好きな相手とするものなんじゃねぇの―――?)

俺には・・・分からないけれど。



「うぁ…あ、あ、くぅ…!」

手の動きに合わせて腰を揺らして、俺は襲ってくる波に乗っかろうと必死になる。
乱暴に擦り上げられる度に先端からドロリと先走りが溢れ、ぐちゅぐちゅと
耳を塞ぎたくなるような厭らしい音が響いても、俺は自分を追い上げる事に夢中だった。

「んッ…!あ、も、達きそ…!」
「おいおい、もうか?いくら何でも早過ぎるだろ」
「んッ…!んな事、ねぇよ…ッ!」

だって、こっちは後ろに指、入れられてるんだぞ。端から俺の方が不利じゃねえか。
その思いを代弁するように、俺は後ろに力を入れて郷嶋の指を締め付ける。

「おい、あんま締めるなよ。動かせねぇだろ」
「やッ…だって…!」
「お前、一人でやる時もそんなじゃ、随分と手間も掛からず便利だな」
「ふざ、けんな…ッ!一人の時は、こんなとこ、触んねぇよッ!」

いくら風呂上がりの綺麗な体だからって、自分のこんな所、絶対に触りたくない。
ましてや指なんて―――。

「ふーん。じゃあお前は俺に奉仕させてるって訳か。いいご身分だな」
「何言ってやがる!テメェが勝手に指突っ込んで来たんだろ!
 別にこっちはしてくれなんて頼んでねぇよッ!」

しかも、挿れないなら解す必要ねぇし。
噛み付かれた郷嶋は一瞬、鼻白んだような顔をし、

「へぇ。そういう事言う訳ね」

そう言って実にあっさりと俺の中に埋め込んだ指を抜き去ってしまった。

「あっ…」
「なに残念そうな顔してんだよ、このエロガキ」
「そっ、そんな顔してねぇよ!」

俺は慌てて弁明するが、実際は急に無くなった体温と質量に妙な喪失感と
物足りなさを感じた。それでもそんな気持ち、顔にも口にも出せる訳もなく。
俺はわざと清々した素振りで、奴の顔を見据えてやった。
そんな俺の気持ちなど知る由もないオッサンは、俺の分泌液で濡れた指を
まるで何の感慨もなく俺の内股になすり付けると

「これでお望み通りだろ。ほら、いつまでもボーっとしてねぇでお前も動きな」
「あ…うん」

俺の胡乱な返事を合図に、再び動きを再開した。
そんなオッサンを見て俺も慌てて手を動かすが、やっぱり物足りなさは拭えなかった。

いや、ちゃんと気持ちいい事は気持ちいいんだけどさ。

オッサンは伊達に年喰ってる訳じゃなくて、ちゃんと的確に男のツボを心得た指使いで
俺を追い上げた。正直、自分でするより全然悦い。

(やば…本気で保たなそう…)

思わず目を閉じて触覚以外の五感を遮断すると、いよいよもって俺の感覚は
鋭敏になり、腰が重たくなってくる。終わりが近い証拠だ。

そこに入り込んで来る濡れた淫靡な音と、汗と煙草と石鹸の匂い。

(ねぇ、アンタ今どんな顔してんの―――?)

そう思って瞼を押し上げようとした瞬間、先端の一番敏感な所に爪を立てられ、
一瞬で俺は頭の中が真っ白になった。



「…だから、達くの早ぇっつーの」

頭上から降ってきた呆れたような声に俺は今度こそ目を開けると、
そこには声音同様、呆れたような顔をした郷嶋の顔があった。

「達くなら達くってちゃんと言え」

ほら見ろ、手が汚れちまった。
そう言って俺の前でひらひら翳して見せた奴の手は確かに、たった今
俺が放ったばかりの白いものでドロドロに濡れていて。
舐めて綺麗にしろとか言われたらどうしよう、そう思って顔を背けるが、
実際のオッサンは枕元にある紙で手を拭うと、少し乱暴な手付きで
よしよしと犬の子にするように俺の頭を撫でた。

(だから、そんな事しなくて良いって)

…だって、そんな事したら好き同士みたいじゃないか。

「どうした。茫然自失になるほど悦かったのか?」
「…うるせぇなあ」

悪態を吐くも、目線の先のオッサンのものは、まだ熱を宿したままで。

「自分一人だけスッキリしやがって。言っとくが、俺はまだ掛かるからな」
「…分かってるよ」
「どうせだから口でしてみるか?」
「絶っっ対やだッ!」

そんなもの口に突っ込まれた日には、3日は飯が喉を通らなくなる。
かくなる上は、やっぱり―――

「…挿れろよ。しゃぶらされるよりマシだ」

そう言って挑発的に足を大きく開いてみせた。オッサンは一瞬、
そんな俺の姿に目を見開いて、それでいて次の瞬間には呆れたように

「お前、人の話聞いてねぇのか。今日は挿れねぇって言っただろ」

それだけ言って再び手を動かそうとするが、俺は郷嶋の腕を俺は掴み、
じっと相手の目を見据えて言葉を紡ぐ。

「明日に響くからか?なら、もうとっくに手遅れだっつーの。
 第一、明日に響くのは突っ込まれる俺の方だろ。
  でもな、俺はアンタと比べて全然若いんだから、そんな気遣い要らねぇよ」
「別にお前に気なんか遣ってねぇよ」
「なら尚更だろ。俺だって別にアンタにサービスしてる訳じゃねぇぞ。
 ただ、俺ばっかりアンタに色々されて達かされるってのが嫌なんだよ。
  アンタに借り作ってるみてぇで癪なだけ。勘違いすんなよな」
「お前なぁ、」

尤もらしい事言ってるが、要は前だけじゃ物足りねぇんだろ。
素直じゃねぇな、挿れて欲しかったなら最初からそう言えよ。

その揶揄うような口調に俺が反論するより一足早く、オッサンに「…力抜いとけ」と
耳元で囁かれ、次の瞬間、熱い塊がゆっくりと俺の中に侵入して来た。



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