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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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★書いている本人が一番ビックリしているまさかの郷斎アゲイン。

いやいや、世の中には榎鳥とか青榎とか益寅とか伊佐司とか摩訶不思議な(コラ)CPが
多数存在してる訳だし、私も1つくらい「世界に/1つだ/けの/花」を咲かせてもイイよね・・・?
そんな思いから始まった「おっさん×若造」CPの郷斉、流行らせようなどと大それた事は
思っておりませんが、少しでも皆さまにお楽しみ頂けたら幸いです^^;

ずっと長編エロばかり書いて来たので、今回はリハビリも兼ねての短編エロ無しです。


(シチュ的には、邪魅の時のように公安と合同捜査する事になって偶然同じ旅館の
別々の部屋に泊まり込みをしてる2人的なアレで。既にデキてる設定の2人です)

                 ご都合主義でイイじゃない
                            どうじんだもの
                                 by りんご






【DOG STYLE】



ぱさりと黴臭い上掛けを捲り上げられる気配に、俺はひたすら身を硬くした。
俺の隣に無遠慮に潜り込んで来た男は、俺の耳元に煙草臭い息を吹きかけながら

「寝たふりしたってお見通しだ。こっち向きな」

そう囁いて、しかし俺が振り向くまでもなく
乱暴に肩を掴んで自身の方へと俺の体を反転させた。

「寝てんだよ。触るんじゃねぇ」

俺は鋭い声で相手を制するが、図々しくも男はどこ吹く風で

「どこがだ。起きてるじゃねぇか」

茶化すようにそう言うと、口元にだけ例のシニカルな笑みを浮かべた。

「今まさに寝ようとしてたんだよ。見て分かんねぇのかよ」
「制服のままベルトも外さずに寝るのか?すぐバレる嘘なら最初から吐くな。
 どうせドアが開いたと同時に布団に潜り込んだんだろ。なに逃げてんだよ」

逃げる、と言う言葉を聞いた途端カッと頭に血が昇る。

「逃げてねぇよ!ただテメェと顔合わせるのが嫌なだけだよ!それくらい察しろ!
 てか俺の布団だ!勝手に入ってくんな!」

俺の事など全てお見通しとばかりにニヤリと笑う男の顔が堪らなく癪に触って、
俺はとうとう上掛けを跳ねのけて相手の男―――郷嶋を怒鳴り付けた。

「相変わらずキャンキャン煩ぇな。もう夜中だぞ。でけぇ声出すなよ」
「誰のせいだッ!さっさと出てけ!」

いつの間にやら腰に回された手を強く叩き伏せて威嚇するように噛み付くが、
郷嶋はそんな俺を聞き分けのない子供の癇癪をいなすように

「なんだ、人がせっかく手伝ってやろうってのに。俺の親切を無にする気か」

そう意味不明の言葉を吐くと、わざとらしくやれやれと肩をすくめて見せた。
俺はコイツのこういう、いちいち人を食った仕草一つ一つに腹が立ってしょうがない。
こちら側がムキになればなるほど相手の思う壺だと分かっていても反発せずには
いられなかった。大体親切って何だ、テメェの親切心なんて真夏に降る雪くらい
お目に掛かった事が無ぇよと反論しようとするが、瞬間、奴はとっておきの秘密を
打ち明けるように声を潜めて、

「…脱ぎな。抜いてやるよ」

そう言って制服のズボンの上から俺自身を思いきり掴み上げた。
そんな奴のふい打ちに俺は飛び上がらんばかりに驚いて、
それでも俺は何とか踏みとどまると奴を思いきり睨み付ける。

「要らねぇ親切だッ!てか離しやがれ!頭おかしいんじゃねぇの!?」
「まぁ遠慮すんなよ」
「してねぇよッ!」

持ち前の吊り目を更に吊り上げて噛み付くも、郷嶋はそんな俺の反撃など
痛くも痒くもないと言わんばかりの涼しい顔で

「どうせ溜まってんだろ。手伝ってやるよ」

そう言って更に握り締める手に力を込められる。急所を掴まれて上手く抵抗できない俺は
それでも精一杯身を捩りながら奴を怒鳴り付ける。

「余計なお世話だッ!いいから離せ!マジで疲れてんだよ俺は!」

言いながら俺のものを掴んでいる奴の手首を、ギリギリと締め付けるように爪を立てる。

「テメェのおふざけに付き合ってる暇は無ぇんだ!分かったらさっさと出てけよッ!」
「お前のその焦るとベラベラ喋る癖、自覚した方がいいぞ」
「焦ってねぇよッ!」
「まぁ良い。でも連日の捜査だ会議だでお互い休む暇も無ぇんだ。
 疲れてて当然だろ。でもって疲れてりゃ余計にヤりたくなる。違うか?」
「…ッ」

確かにコイツの言う通り、疲れれば疲れるほどやりたくなるのは男の性(さが)で。
コイツが来なけりゃ自分の右手を恋人にする心積もりではあったけれども。

「それとも直接ブチ込んでやろうか?」
「要らねぇよッ!要はテメェがしてぇだけだろ!」
「当たり前じゃねえか。何を今更」
「ざけんなッ!一遍死ねッ!」

俺は手近にあった枕を引っ掴んで目の前のエロ親父の顔面に叩きつけようとするが、
いとも簡単にひょいと避けられてしまうのが憎たらしい。

「俺だって溜まってんだよ。付き合え」
「知るか!だったら便所で抜いて来いよ!」
「何で俺がいい年こいてマスなんか掻かなきゃなんねぇんだよ。
 お前が素直にその身を差し出しゃいい事だろ」
「ふざけんな!!そんな事言われて俺がハイ分かりましたとでも言うと思ったか
 このクソ親父!黙って聞いてりゃ人のこと公衆便所みてぇに扱いやがって!
  俺を一体なんだと思ってやがるッ!」

俺は相手のあまりの言い種に腹わたが煮えくり返って訳が分からなくなる。

「ふざけんなよ畜生!人の事コケにしやがって!
 俺はテメェの便器でも右手の代わりでもねぇんだぞッ!」
「誰もそんな事言ってねぇだろ。自分で言い出して勝手に腹立ててるんじゃねぇか。
 何なんだお前は、俺にどうしろって言うんだよ」
「それはこっちの台詞だ!大体な、やるならやるで段取りってもんがあるだろうが!」
「段取り?」
「そうだよ!大体テメェも俺も風呂がまだだろ!
 俺はなぁ、同じやるんでも汚ぇ体でやるのが我慢ならねぇんだよッ!!」


口角泡の勢いでそう怒鳴りつけ、俺は肩でハァハァと息をする。そこで俺はハッとする。

俺、今なんて言った…?

『汚い体で』
『やるのが』
『我慢ならない』


(それってつまり…)
「―――風呂さえ入りゃいいって事か?」

俺の脳裏に湧き上がった疑問符の答えを、目の前の男が引き受ける。

「ならキャンキャン吠えてねぇで最初っからそう言え。まどろっこしい奴だ」
「違ッ…!」
「違わねぇだろ。素直じゃねぇな」

茫然とする俺を尻目に目の前の男はついと立ち上がると

「風呂入って来るわ」
実にあっさりそう宣言し、俺から身を離した。
俺はとっさに反論と弁解と今の自分の言葉が如何に不適当であったかを主張した上で
撤回したかったけれど、ただ金魚のように口をパクパクさせるのが精一杯で、
何一つまともな意味のある言語は紡ぎ出せそうもなかった。

・・・さっきの俺の言葉は明らかに「風呂にさえ入れば相手をする」と言っているのと同義で。
 
俺が目の前の相手を拒んだのは、単に「風呂に入る前だから」に過ぎないと
取られてしまっても仕方ない訳で―――。

「タオル貸せ」

郷嶋は俺の承諾を得る前に壁に引っ掛けてあったタオルを無造作に掴み取ると、
そのまま俺の脇をすたすたと通り抜けて行く。


「あ、あの…ッ」
「何だよ」

動揺から弛緩してしまった声帯を何とか震わせて何とか言葉を発した俺を、
郷嶋は値踏みするように一瞥する。

「さっきの言葉、あれは別に…」
「だから言ったろ」
「え…?」

郷嶋は不敵な顔付きでニヤリと笑い、

「お前は焦るとベラベラ喋る癖があるってよ」
「あ…」
「焦ると人は嘘が吐けねぇもんだぜ。誘導尋問の基本だ。研修生時代に習ったろ」
「うぅ…」

もう母音以外喋る事が困難な俺を呆れたように見据えながら

「で、後は段取りが必要だと?分かった分かった。じゃあ今夜は
 お前が達く瞬間にアイシテルって言ってやるよ。もちろん棒読みでな」
「はは…要らねぇ…」
「安心しろ。死んでも言わねぇから」

奴はそれだけ言うと、すっかり牙を抜かれて意気消沈した俺を残して
部屋を出て行った。ドアが閉まる瞬間に

「何なら寝てても良いぞ。この状況で寝られるならよ」

そう一言残し、後ろ手で何かを俺に放り投げた。手早くキャッチして投げ渡されたそれを見ると
そいつは吸いさしの洋モクの箱で、要は戻るまで預かっておけと云う事だろう。

中には奴愛用のジッポが力技で押し込められており、それを無理やり引き抜いたせいで
折れてしまった中の一本を取り出すと、俺は慣れない手付きで火を着けた。
一吸い目から普段愛飲のものとは似ても似つかぬくどい苦味が舌の上と肺を満たし、
紫煙を吐き出した後もいつまでもねちっこい存在感が俺を内側から支配した。

(キツ…)

こんなものを毎日大量に摂取していたら、たちどころに癌細胞が俺の体を蝕み、
やがては死に至るだろう。

「持ち主と一緒だ。毒にしかならねぇ」

俺はそう一人ごちると、まだ新しいそれを灰皿に乱暴に押し付けてごろりと横になった。

このまま奴が戻って来るまでに、ここを出て別の同僚の部屋へ転がり込む事も
本気で眠りに就く事も可能なのに、なぜか俺の体は根が張ったようにその場から
動かないし、堅く目を閉じてみても一向に睡魔が襲ってくる気配は無かった。

(もう、とっくに毒でやられちまってんのかも…)

取りあえず俺がその時脳裏に思い浮かべた事はと言えば、自分の方が奴より先に
風呂に入りたかったと云う事と、右から3番目のシャワーは水からお湯に切り替わるまでに
凄ぇ時間が掛かると云う事を奴に伝え忘れてしまった事の二点に尽き。

いやいや、今考えるべきなのはそんな事じゃねぇだろうと思い至った時には既に、
俺の頭の中は奴の立てる水音を拾う以外の役目を果たしてはくれなかった。



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