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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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第3話。
当時の横浜港では、こういった事件は頻繁に起こっていたそうです。

「キティボーイ」とは男娼のスラングだったりします。





僕は一瞬、何をされたのか良く分からなかった。ただ強い力で掴まれた腕が痛かった。

「痛いよ、離して、」

おじさんは僕の言葉を無視して今度は口元をニヤリと曲げて
(笑ったんじゃなくて、本当に曲げただけに見えたんだ)

「Kitty、可愛イ、Kitty・・・」

ブツブツそう呟きながら僕の上に覆い被さって来た。
おじさんからは噎せ返るようなお酒の匂いがして、僕はその時ようやく
彼が病気なのではなく、酷く酔っているのだと知った。

大人の力で押しつけられて、僕の体はビクともしない。僕は次第に怖くなって

「どいて、痛い、痛いよ…」

と喉から振り絞るように呟いた。僕の声も手も震えていた。
おじさんはそれでもニヤニヤしたままお酒臭い息で

「可愛イ、Kitty 、Kitty-boy・・・」

と言って自分のベルトを片手でカチャカチャやった。

僕は言葉の通じないおじさんが恐くて、壁に押しつけられた体が動かない事が恐ろしくて、
泣きそうな声で

「やめて、何するの?やめて、お願い…」

と何度も何度もお願いした。それでもおじさんは少しも手を止めてくれない。
自分のベルトを外し終わると、今度は僕の履いている紺色の半ズボンに手を掛けて、
力尽くで脱がそうとして来た。

僕は怖くて怖くて、足がブルブル震えて、お腹の底から声を出して叫んだ。

「嫌だぁぁ!止めて!止めてよぅ!誰か助けてぇっ!!」

僕は動かせる範囲で体をジタバタさせて何とか逃げ出そうと試みた。

「パパーッ!!ママぁ!!助けてぇ!!助け…」

バシッ!

僕の言葉はそこで止まってしまった。次の瞬間、頬がジンジンと熱くなって、
僕は目の前の男に殴られたのだと知った。

僕は殴られたショックで声が出なくなった。変わりに目から涙がボロボロ零れる。
・・こんな風に人から殴られるのは生まれて初めてだった。

悪戯をした事がバレてママにお尻をぶたれた事はあったけれど、こんな風に誰かに
顔を殴られた事なんて無かった。 涙は後から後から流れ落ちた。殴られた頬が熱くて痛い。
背中に冷たい汗が出て、僕の腕は寒くないのに鳥肌が立った。

・・・今度大きな声を出したら、僕はきっと殺されてしまう。
そう思うと肺が引きつって喉がヒュウヒュウと鳴った。

男はそんな様子の僕を見て、急に優しい顔と声を作って、片言の日本語で、

「Boy,大丈夫。痛クナイ、怖クナイ」

と言って僕の頭を芋虫みたいに太い指で撫でた。それでも僕は恐ろしくて仕方がない。
頭をブンブン振りながら喉を絞って

「いや…止めて、止めて…」

と小さな声で懇願した。僕はもう目を開けていられなくなって、瞼をギュッと固く瞑ってしまう。
顔はもう涙と汗と鼻水でグシャグシャだった。

でも、僕のそんな小さな抵抗も長くは続かない。
ーーー何故なら、僕は信じられない場所にヌルリとした感触を感じたからだ。

男は、僕のパンツを脱がして“そこ”を舐め回していた。

「いやっ、何してるの!?…嫌だよっ、嫌だぁ…止めて…」

僕は奥歯をガチガチ言わせながら嫌だと言い続けた。
本当は涙で喉が詰まってちゃんとした声なんて出ていなかったけど、
頭を振って拒否し続けた。両足を押さえ付けられた僕には、それ以外に残された
道なんて無かった。大きなナメクジが這っているようなヌルヌルとした気持ち悪さに
僕は再び固く目を閉じ、ママの忠告を聞かずに一人で帰った事を後悔し続けた。

ピアノの先生にパパがすぐに来ると嘘をついた事。
パパの到着を待っていなかった事。
寄り道をして港に近付いた事。
勝手に倉庫に入った事。

前にママが

「龍ちゃん、悪い事をすると神様がちゃんと見ていて、天罰が下るのよ」

と言っていた事を思い出した。なら、これが神様が僕に与えた罰なんだろうか。ピアノの
お稽古の時まで時間が巻き戻せるなら、僕は何時間でもあそこでパパを待っているのに!

神様、これからはパパとママの言いつけを守ります。家のお手伝いもします。
学校の勉強もピアノのお稽古も今より頑張ります。もう寄り道はしません。嘘も吐きません。
今より良い子になりますから、だからどうか僕を許して下さい。僕を助けて下さい。

ごめんなさい、
ごめんなさい、
ごめんなさい。

「えっく…うぅ…ひっ…」

僕は神様にお祈りしながら、大好きなパパやママやピアノの先生、近所のおばさんや
学校の友達の顔を思い浮かべて、この永遠に続くような時間を耐えた。耐えるより無かった。
自分はこれから他に何をされるんだろう。お家に帰りたい。誰か助けて。迎えに来て・・・!!

それとも僕は殺されてしまうのかな。そんな考えが浮かんでは消え、僕の体の中は
全部涙で出来ているんじゃないかと思うほど、僕はダラダラと涙を流し続けた。

僕は泣き過ぎてグッタリしてしまう。
そこで漸く男が顔を上げた。男の口の周りは唾液でヌラヌラと光っていた。
男は早口の外国語で何か呟くと、僕の頭を再び撫でた。
そして膝立ちになって自分の履いていた灰色のズボンをズルリと下ろすと、
自分の“それ”を僕の顔の前に突き出した。

それは赤黒く膨らんで、男の動きに合わせてゴムで出来た玩具みたいに揺れていた。

僕はパパと銭湯に行くから、パパのも他の大人達のも見た事があったけれど、
少なくともこんな気持ち悪い形や色はしていなかった。
僕は吐き気がして顔を逸らしたかったけれど、男が僕の頭を掴んだのでそれも出来なかった。

男は僕の手を取ると、ゆっくり自分のそこに当てがった。そこは熱くてドクドクと脈打っていて、
力の抜けた僕はもう、されるがままだった。

男は声すら出なくなった僕の手を掴み、自分のそこに擦りつけた。
ハァッハァッと犬みたいな声で酒臭い息を吐き出しながら、男は夢中で
僕の手を使って自分のそれをこね回し続けた。

時折、外国語で何か叫びながら腰を揺らしていた男はベタベタの手で僕の顎を掴んだ。
僕は少しでも遠くに離れたかったけれど、頭のすぐ後ろは壁で、それすら叶わなかった。

毛の生えた太い指が僕の唇をなぞり、固く食いしばった歯をこじ開けようとする。
僕は絶対に口を開けたくなくて、暫く顎が痛くなるほど奥歯を噛み締めていたけれど、
思い通りにならない僕に苛立った男が右手を振り上げたのを見て、僕はとっさに
顔の前で腕を交差させて

「ぶたないで!お願い…!」

と懇願した。喋った事で薄く開いた唇に、男が人差し指をねじ込んで来た。
そして次の瞬間、“それ”が僕の口の中に押し入って来た。

「――――ッ!!?」

一瞬、僕は頭の中が真っ白になってしまう。
僕は何をされているの?!
この男は何をしているの?!
今、僕の口に詰め込まれているモノは一体何なの?!

「んぐぅーーッ!うぅ!んぅうッ!!」

頭を鷲掴みにされてガクガクと揺さぶられて、喉の奥に“それ”が当たって
噎せて吐きそうになるけれど、口一杯に詰め込まれている為、それも叶わない。
僕は口の中に入っているモノの正体も分かっているけれど、
そんなおぞましい事実を認めたくなかった。

泣き過ぎて鼻が詰まり、喉の奥まで塞がれていて呼吸すら満足に出来ない。
男に頭を固定された姿勢で、このままでは窒息して死んでしまう。

僕はこんな場所で、こんな男に殺されてしまうのだろうか??
僕はこのまま死んでしまうのだろうか??

ーーーそんなのは嫌だ!! 僕はパパとママのいるお家に帰るんだ!!



その瞬間、僕の中で何かが弾けた。

「ギャアァアァ――――ッ!!!」


・・・僕は男の“それ”に犬のように噛みついた。



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