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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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第3話。

攻めに苛められて泣いている受けも好きですが、
受けに本気で泣かれてオロオロしてる攻めも好きです。







郷嶋は青木さんの性器をギュッと握り込む。

「叩かれて、こんなに濡らして、やらしいな文蔵は」
「やだぁ…違っ、」
「違わねぇだろ、この淫乱」

淫乱、ともう一度言って、郷嶋は今度は青木さんの朱に染まった尻に噛みついた。
歯を立ててギリ、と音がしそうなほど強く。青木さんの腰が跳ねる。

「嫌だぁッ!!痛いッ!!郡治やめて!!痛いよぅ!!」

郷嶋は応じない。一旦口を離し、すぐさま反対側にも同じように歯を立てる。
最初に噛みついた部分には、歯形がくっきり刻まれていた。

「お願い、止めて!!痛いってば…ッ!!」

郷嶋は角度を変えては噛むを繰り返している。握り込んだ性器の先端にも
爪を立てながら、まるで獲物に食らいつく肉食獣のように。

「ねぇ、痛いってばぁ…酷いよ、どうして意地悪するの…?もう、郡治なんか嫌いだよ…」

ひっくひっくと体を震わせながら、青木さんはボロボロと涙を雫して本気で泣いてしまって、
それを見た郷嶋は漸く口を離した。双丘に刻まれた二つの歯形が痛々しい。

「なんで…?久しぶりに逢えるから楽しみにしてたのに、逢えて嬉しかったのに、
なんで酷い事ばっかりするの?郡治のバカ、嫌い。あっちに行ってよ、もう触らないで!」

(オッサン、やり過ぎ。あーぁ、バカだな。本気で怒らせちゃったよ…)

郷嶋は青木さんの本気泣きに少々バツの悪い顔をする。これではまるで、
好きな子を苛めて泣かせてしまった小学生だ。

青木さんは郷嶋の体の上からどくと、ヤツに背中を向けてしまった。郷嶋が手を伸ばす。

「おい、泣くなよ」
「触らないでって言ったでしょ!あっちに行って!」

青木さんは後ろ手にオッサンの手を払いのける。

「もういい、一人でするから!こっちに来ないで!嫌い!」

取り付く島も無いって、こういう事を言うんだろうな。まぁ自業自得だけど。
この現状を例えるなら、子供が図体のデカい飼い犬と遊んでたら
やたらと犬の方が興奮して、じゃれてるつもりが子供を突き倒してしまい、
子供が泣き出して犬が傍らでオロオロするって感じに似てた。

「なあ、俺が悪かったって。こっち向けよ」
「もう!話し掛けないでったら!」

青木さんは相当お冠だ。そのまま枕に顔を埋めてしまう。

「もう今夜は一人でする。郡治にはさせてあげない。お預けだから」
「そんな事言うなよ…」

話し掛けるなと言った2秒後に自分から話し掛けてる青木さんが可愛い。
「一人でする」って言ってたけど、結局このオッサンの事を考えてするんじゃないの?

郷嶋は「触るな」と言われた通り、直接触れる事を諦め、代わりに手を
青木さんの身体から数センチ浮かせた所で、空中を撫でるように動かした。
青木さんの纏う空気を愛撫するかのような動きだ。空気の揺れで
気配だけは感じるのだろう。青木さんは小さく身じろぎをした。

「…なぁ、」

郷嶋が呼びかける。青木さんは答えない。
ただ、先程のように拒絶もされないから郷嶋は更に言葉を続ける。

「…悪かったよ。俺も久しぶりだからって羽目外し過ぎた。
  逢いたかったのは俺も一緒だよ。だから、」

青木さんは動かない。
ただ、俺の予感が正しければ青木さんは待ってるんだ。ヤツの一言を。


「…ごめんな、文蔵」


ピクッと青木さんが動いた。多分、もう一押しだ。てか、あのオッサン
人並みに「ごめん」とか言うんだな。意外な所で俺は感心してしまった。

「もう、お前の嫌がる事はしないから。全部俺が悪かったから。
だから機嫌直してくれよ。仕切り直ししよう。な?」

もうちょいだ、頑張れオッサン。
俺は何故かちょっとだけ郷嶋の野郎を応援してしまう。
これって、何だか花に止まった蝶々を捕まえる時の緊張感に似てる。

正念場で焦りは禁物だ。


「お前の事、抱きたいんだよ。俺がお前に惚れてる事、お前が一番よく知ってるだろ?
俺はお前じゃなきゃ駄目なんだよ。だから、なあ…こっち向いてくれよ」

ここだオッサン、ここで一発キメろ。

「愛しているよ、お前だけだよ、文蔵」


次の瞬間、青木さんがゆっくり振り向いた。心なしか双眸が潤み、頬も紅い。
「愛してる」なんて、若造が言ったら陳腐で安っぽく聞こえる台詞でも、
円熟したオッサンが言えば少しは格好が付くものだ。
少なくとも青木さんには、その効果は絶大だったみたいだ。

「…本当?郡治」

青木さんは自分に向けられたクサい台詞に嬉しさ半分、さっきのヤツの
悪ノリに対する恨みつらみ半分で複雑な顔をしていた。
素直に許してなるものかと云う気持ちと、今すぐ自分を愛する男の胸に
飛び込みたい気持ちが心の中で戦って葛藤しているんだろう。

「ねぇ、本当?」
「本当だよ。俺がお前に嘘ついた事あるかよ」
「郡治…!!」

今の青木さんに効果音を付けるなら“ジーーン”以外に考えられない。
恋する乙女のように瞳を潤ませた青木さんは、まさにそんな顔をしていた。

「ああ、今すぐお前を抱き締めてやりたいけど、“触るな”って言われてるしなあ」

郷嶋はわざとらしくそう言って俯いて見せた。
髭面のデカい犬は飼い主の“お許し”を只ひたすら待っている。

「郡治のばか」

照れたような拗ねたような顔で青木さんが呟いた。
なんとなく“ばか”が平仮名っぽい発音だな、と思った。

男は単純だから、好きな相手をわざと苛めて泣かせて拗ねさせて、それから
宥めて透かして機嫌を取って、相手が再び自分の胸に飛び込んで来るまでの
プロセスを楽しむ生き物だ。

だから、郷嶋はきっと青木さんの事が可愛くて仕方ないのだろうと思った。

「痛いのは嫌」
「うん」
「意地悪されるのも嫌」
「うん」
「久しぶりに逢えて凄く嬉しかったから」
「うん、俺もだよ」
「だから…優しくしてくれる?」
「ごめんな、文蔵」

もう青木さんはさっきまでの勢いはどこへやら、郷嶋の胸に顔を寄せてウットリしている。
完全に自分だけの世界だ。全身からピンク色のオーラが漂っている。

ずっと思ってたけど、青木さんて凄ぇ二面性の持ち主だな。
昼間のキリキリした、真面目で優等生な凛々しい青木さんも素敵だけど、
こういうフワフワした可愛い青木さんも魅力的過ぎて、俺はどっちか好きな方を
あげるとか言われたら凄ぇ悩むだろうな、と思った。贅沢過ぎて選べないよ。
凄い腹減ってる時にラーメンかカレーどっち喰うか選べって言われた時くらい悩む。

俺がそんな下らない事を考えている間に、濃厚過ぎる仲直りの口吻けを
終えた二人は、郷嶋が青木さんを押し倒す形を取っていた。

郷嶋が囁く。

「さっきのお詫びに、めちゃくちゃ優しくする。凄ぇ気持ち良くしてやるよ」

青木さんは、トロンとした顔でこくん、と頷いた。



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益田は正義だと信じてやみません。若者とオッサンを幸せにする為に奮闘する日々。
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