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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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★これにて完結です。やっぱり幸せエンドは良いですね。
「攻め益田」と「受け和寅」というお題を頂いた時、
果たして自分に書けるだろうかと不安で一杯でしたが
思わぬ萌えを発掘したりして非常に楽しく書かせて頂きました。
実はこの話は自分の書いたSSの中でもベスト3に入るお気に入りだったり^^;

あ、この作中での榎木津閣下のお相手は中禅寺さんか木場先輩って事で(笑)。

皆さまにも、少しでもお気に召して頂ければ幸いです。
ここまでのお付き合い有り難うございました!!






「ああぁッ!益田くん、益田くんッ!」
「くッ…和寅さぁん…!」

2人の律動に合わせてソファが軋む。
益田は和寅の、和寅は益田の動きに合わせようと必死になる。
益田の長い前髪が揺れてぱさぱさと和寅の顔に掛かり、くすぐったそうに
顔を背けようとした彼の顎を掴み、益田はその朱い唇に強く吸い付いた。
奥に引っ込もうとする舌を追い掛けて深く口吻けると歯と歯がぶつかり合って
カチリと鳴り、和寅の首筋に流れ落ちた2人分の唾液を舐め取った益田は、
そのまま和寅の白い肌にちゅっと音を立てて吸い付いた。
チクリと微かな痛みを感じた和寅は抗議の意味を込めて益田の胸をドン、と叩く。

「和寅さんは白いから、色が綺麗に付きますね」
「馬鹿…痕、付けるなよ…」
「大丈夫、ここなら目立ちませんよ。
それに偶には良いでしょう?僕にだって独占欲くらいあるんですよ」
「あ、でも駄目だ、これ以上は…」
「“先生”に見つかったらどうしようって?
 今更でしょう。あのオジサンに隠し事は出来ませんよ」
「そうだけど…」
「それに、あの人だって人の事は言えませんでしょう。
 …まぁ、お互い大人なんだ。その辺は不可侵て事ですよ」

ね?だから心配無用です、そう言いながら益田は腰を突き入れるタイミングを変える。
浅く浅く深く、抜く時は緩やかに、突き入れる時は一気に。最奥に届いたら深く抉るように。
…これは和寅の性感を高めるのに最も効果的な動き方である事を益田は熟知していた。
和寅は押し寄せる快楽に翻弄され、縋る物を求めて益田のシャツをきつく掴んだ。
和寅の頭を胸に抱き込んだ益田が囁く。

「貴方と榎木津さんの過ごして来た時間の長さに比べたら、僕との付き合いなんて
取るに足らないものかも知れない。…でもね、和寅さん。僕は僕なりに貴方を真剣に
お慕いしているんです。それだけは信じて下さい。ね?」
「あッ!あぁ…や、ん、はぁ…!!」
「好きです、和寅さん、好きだ…」
「んぅ…ああ、あ、益田くん…!」
「お願いだ、和寅さん。貴方も言って、貴方の言葉で聞きたいんだ…!
 僕は臆病だから、ちゃんと言って貰わなきゃ安心できないんです…!」

深く腰を打ち付けながら、自分への恋慕の言葉を紡ぐ益田に和寅は
大きく息を吸い込むと、震える手を伸ばして益田の首筋にしがみ付き、
陸に打ち上げられ酸素を求める魚のように喘ぎ喘ぎ、

「す、き、だよ…あたり、前だろう…好いてもない相手に
 こんな事を許すほど…私は堕ちちゃ、いないさ…!」

そう言って熱い息を吐いた。
途端に益田の腰がビクリと震え、和寅の内部で更に質量を増した。
その衝撃に和寅は堪らず背をしならせ、益田の頭を強く掻き抱く。

「あぁぁッ!急に、そんな、や、あぁッ!」
「だって、貴方がそんな可愛い事を仰るから…!」
「ん、や、可愛くなんか、」
「いいえ、貴方は可愛いです。好きです、僕の可愛い人…!」
「はぁ…あぁ、益田くん…ッ!」

「和寅さん、ねぇ、もっと、もっと聞かせて…!貴方の声だけで僕は達きそうなんだ…!!」
「ふぁ…んん、あ、好きだ、益田くん、ちゃんと好きだから…!」
「嬉、しいです…!僕も、僕も好きだ、愛してます、寅吉さんッ…!」
「ああぁッ!駄目、もう・・・!もう、イ…!」
「僕もです、寅吉さん、一緒に…!!」

「や、もう、あ、ああぁぁッ…!!」
「くぅッ…!!」


ギィッとソファが一際大きく軋む音を立て、そのまま室内は静寂に包まれる。
ハァハァと肩で大きく息をしている和寅の髪や額、頬や唇に順に愛おしむように
口吻けを落とし、益田はゆっくりと自身を引き抜いた。

叶精したばかりの和寅の体は酷く敏感になっており、その刺激にも
腰をぶる、と震わせ眉根を寄せる。益田はポケットからチーフを取り出すと
和寅の腹部に散った情交の跡を綺麗に拭ってやった。

どこか陶然とした様子で和寅が呟く。

「着替えないと…着物が染みになる」

その言葉を受けて、それまでゆっくりと彼の柔らかい癖毛を
撫でていた益田がゆっくりとソファから身を起こす。

「なら、ついでだから風呂に入りましょう。このままじゃベタベタして気持ち悪いでしょう?」
「昼真から風呂かぁ…怠惰だなぁ」
「これ位の贅沢、偶になら許されますって。どれ、沸かして来て差し上げますよ」

ソファに手を付いて立ち上がろうとした和寅を軽く手で制すると、
益田は自ら素早く立ち上がった。正直な所、益田との情交の余韻で
動くのが億劫だった和寅は、益田のそんなさり気ない優しさが素直に嬉しかった。

ややあって和寅がソファに身を起こして着崩れてしまった袴を直していると、
風呂場から戻って来た益田によって背後から柔らかく抱きすくめられた。
大きな犬がじゃれ付くように首筋に顔を埋め、囁かれる。

「…直しても、どうせすぐに脱いでしまうのに」
「皺になるだろう。洋服と違って洗濯機に突っ込んだり
 アイロンを当てる訳には行かないからね」
「几帳面な方だ」
「着道楽なだけさ。それより君、離れたまえよ。鼻息がこそばゆい」
「いいじゃないですか。風呂が沸くまでの間だけ。ね?」
「しょうがないなぁ…」

甘えたような声を出す益田に和寅はやれやれと大袈裟に肩を竦めて見せると、
ちょいちょいと人差し指を動かしてこちら側に来るように促した。
榎木津なら大股でソファを跨いで来る所だが、益田はいそいそと迂回して和寅の前に立つ。

「どうしました、和寅さん?」
「いいから、座りたまえよ」

ポンポンと自分の隣に座るように促され、益田は言われるがままに着席する。

―――次の瞬間、益田の体は和寅の手によってグイと横倒しにされた。
しかも益田が頭を押し付けた先は、なんと和寅の膝であった。突然の事態に
驚いた益田は顔を上げようとするが、和寅の手によってその動きは阻まれてしまう。

「か、和寅さん?!」
「何だい、不満かい?」
「め、滅相も無い!ただ、急に膝枕なんてして下さるから驚いただけで…」
「別に。偶には良いだろう。気が向いたからしてやっただけさ。気が向かなきゃやらないよ」
「和寅さぁん…」

益田は和寅の膝に顔を埋めたまま、その腰に腕を回すと甘えるように身を丸めた。
じゃれ付いていた犬が一転、今度は大きな猫のようだ。

「…年下の君にばかり主導権を握られていては、
年上としての面目が丸潰れだからね。こちらの矜持を立てたまえよ」
「相変わらずプライドの高い人だなぁ。でも、貴方が折角そう仰って下さるんだ。
 お言葉に甘えて、思う存分堪能させて頂きますよ」

そう言いながら和寅の袴の腰紐を指で弄んでいた益田は、ふいに悪戯心を起こして
それを解こうと指先に僅かに力を込めるが、素早く動きを察知した和寅によって
ピシャリと叩き落とされ、未遂に終わる。

「こら、調子に乗るんじゃないよ」
「だって。折角のこの機会を逃したら勿体無いじゃないですかぁ」
「だってもさってもあるかい。大人しく出来ないから私はもう立つぞ」
「そんなぁ。ちゃんと大人しくしますから、そんな殺生な事を仰らないで。ね?」
「全く、調子のいい奴め」

そう言いながらも立ち上がる素振りを見せない和寅を益田は嬉しく思う。
和寅が自分からこんな事をしてくれる機会など滅多にないからだ。
時間の許す限り甘えていたい益田は手を和寅の腰に回し直すと、
それ以降は大人しくなった。和寅が益田のサラサラとした黒髪を手櫛で梳いてやると、
うぅん、と鼻に抜けるような甘えた声を出して背を丸めた。益々もって猫のようだ。

ねぇ、和寅さんと益田がふいに呟く。

「もし今、あのオジサンが帰って来て僕達を見たら、一体どう思うでしょうね」
「そんな事は今更だろう。あの方に隠し事が通用しない事は、私は子供の頃から承知だよ」

「まぁ、それはそうなんですけどねぇ。
 でも、これじゃまるでさっきの話のようですよねぇ」
「さっきの話?」

「ほら、旦那が物音に気付いて部屋を覗いたら、
若い奥さんとメイドさんが組んず解れつ…って話です」
「ああ、そう言えばそんな話をしてたっけねぇ。
・・・で、なんで今の私達がその秘密絵巻みたいなんだい?」

「だって、よく似てるじゃないですか。榎木津さんからしたら小さい頃から
 ご自分の弟分のように可愛がっていた和寅さんをですよ、途中からやって来た
 下男…もとい下僕に横から掻っ浚われちゃった訳ですからね。
 言わば鳶に油揚げを盗られちゃったようなもんだ。憤懣やる方ないと
 思われていても仕方ないんじゃないですか。だって、」

「…益田くん」

それまで黙って益田の話を聞いていた和寅だったが、急に静かな口調で
その言葉を遮ると、益田の鼻を掴んで思い切り捻り上げた。そんな予期せぬ
和寅の暴挙に、益田は尻尾を踏まれた猫のようにギャッと悲鳴を上げて身を捩った。

「いだだだッ!痛い!痛いですよぅ、和寅さぁん!」

情けない声を出して鼻を押さえる益田に、和寅はフンと鼻息を荒くした。

「痛いなぁ。何だっていきなりそんな事をなさるんです」
「うるさいよ、この馬鹿。下らない事を言った当然の報いだね」
「酷いなぁ…僕が何を言ったって云うんですよ」

涙目になりながら鼻をさする益田を和寅はジロリと見下ろし、一言

「君はいつから私の“間男”になったんだね」

そう言ってプイと横を向いてしまう。益田はしまったと云う顔をするが、時既に遅しである。

「君はあれか。私と先生が懇ろの仲で、そこに割って入って来た間男だと云うんだな」
「そ、そんな!滅相もない!」
「閨の最中は散々好きだの愛してるだのと擽ったい事を言っておいて、本心では
そう思っていた訳か。え?どうなんだい。私は君にとんだ尻軽だと思われていた訳だな」

突如としてお冠になった和寅に、益田は慌てて身を起こしてオロオロする。

「そんな事、僕が思ってる訳ないじゃないですかぁ!さっきのは本当に
言葉の“あや”ってやつです!僕は貴方の貞操を疑った事なんて只の一度も無いですよ!」
「ふん。まぁ別にどう思ってくれてても構わないけどね」
「そんなぁ!信じて下さいよ、和寅さぁん!」

益田は情けない顔のまま、襟元に縋り付いて和寅の機嫌を取ろうと必死になる。

「ねぇ、軽率な事を言った事ならこの通り謝りますから、機嫌を直して下さいよ。
 許して頂く為ならどんな事でもしますから。ね?」
「…本当に何でもするのかね?」
「勿論!なんなら裸になってそこの窓から飛び降りたって良い位です!」

益田のその必死な様子と形相に、とうとう和寅は吹き出してしまう。自分の主人が
彼に名付けた“ナキヤマオロカ”と云う徒名はなかなか云い得て妙だと思う。

「君は本当にしょうがない奴だなぁ」
「はい…自分でもそう思います…」
「全裸で白昼、飛び降り自殺の真似なんかされたらとんだ醜聞になる上に、
駆けつけた青木さん達にも迷惑が掛かるだろうに。だから特別に、この袴を
私の代わりに洗濯屋に持って行くので勘弁してやろう」

「へ?それだけで良いんですか?」
「なんだい、不満かい?なら、私の代わりに
 ウチの先生に怒りの鉄槌を下して貰ってもいいんだよ?」
「いやいやいや!それは勘弁して下さいよ!」

益田は両手を上げて降参の意を表する。

「女郎小屋に入れあげてる若旦那じゃあるまいし、こんな情で汚れた袴を
持って行くのは恥ずかしいからね。ちゃんと君の物だって事にして持って行けよ」
「はいはい、分かりましたよう」
「返事は一回で良いったら。分かったならさっさと持って行きな」
「えぇ?!今すぐですか?!一緒に風呂に入ってからにしましょうよ!」

「一緒に風呂に入ろうなんて誰が言ったんだい?
男2人で風呂になんか入ったら狭くて仕方ないだろうに」
「まぁまぁそう仰らずに。お背中お流し致しますよ。
洗濯屋はそれから行ったって遅くないでしょう?店は逃げませんよ」
「君って奴はつくづく図々しい男だなぁ」

呆れたように溜め息を吐く和寅に、益田は至極当然とばかりに

「和寅さんが甘やかして下さるから、僕は付け上がってしまうんですよ。
甘えるついでに膝枕の続き、しても良いでしょう?風呂が沸くまでもう少し掛かりますもの」

そう言って再び和寅の膝に頬を寄せた益田に、全くもう、と和寅は諦めたように呟き、

「最初に言っておくけど、風呂場で“催した”って言っても、もう今日は相手はしないからな」

と、予め釘を刺した。その言葉に益田はえぇ?そんなぁ!とあからさまな落胆の声を出し、

「えー?!駄目なんですか?どうしても?絶対に?」

そう言って玩具を強請る子供のように縋り付くが、和寅は

「それが嫌なら、一緒に風呂に入るのも無しだよ」

と、にべもなく答えた。益田は暫くの間、
諦め悪くぶつぶつと何やら呟いていたが、観念したように

「じゃあ、せめてさっきみたいにして下さいよ。いいでしょう?」

と言って和寅の手を取ると、自らの頭の上に乗せた。暗に撫でろと言っているのだ。
和寅はやれやれと言った風な態度で、それでも指先に込める力は優しいまま、
濡れ羽色の髪を手櫛で梳いてやる。

「ふふ。気持ちいいです、和寅さん」
「この甘ったれめ」
「だぁって、和寅さんも悪いんですよ?貴方が僕をこんなに
 甘やかして下さるから、つい調子に乗ってしまいます」
「全く、口の減らない男だよ、君は」

そう言って今度は軽く鼻を摘んでやると、益田はケラケラ笑って薄い肩を揺らした。
その振動が膝に伝わって擽ったい和寅は、つられて思わず笑ってしまう。

「あ、笑いましたね和寅さん。ねぇ・・・口吻けても良いですか?」
「君も大概、脈絡の無い事を言うなぁ。なんで急にそうなるんだい」

「だって、僕は貴方のくるくる変わる表情の中で、その顔が
 一番好きなんですもの。ねぇ、良いでしょう?顔、こっちに向けて下さいよ」
「…私は少し、君を甘やかし過ぎたみたいだね。しょうがないなぁ」

口ではそう言いながらも和寅は言われた通り身を屈め、益田に顔を近付けてやる。

「仕方ありませんよ。こればっかりはお医者様でも草津の湯でも治せぬ不治の病です。
それに、下男が恋をしちゃいけないなんて決まりはありませんでしょう?」

そう言って嬉々として自分の唇に吸い付いてくる益田に和寅は何か言ってやろうとしたが、
至近距離で見た益田があまりに幸せそうな顔をしているものだから、結局は何も言わずに
益田のしたいようにさせてやった。それに、偶にはこんな時間も悪くない。




室内には湯沸かし器の動くモーターの音だけが、静かに響いている。




(了)


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