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薔薇十字団に愛を注ぎ込むブログです。
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★第9話。
引き続きエロです。苦手な方はご注意を。
 








「あッ…!あぁ、ん、ふ、ぅん、郡治…」

「そろそろいいか?」
「うんッ!来て…!郡治の欲しいよぅ…!」

そう言って腰を捩る青木に、郷嶋は口吻けを一つ落として
後孔に突き立てた3本の指をずるりと引き抜いた。

「ほら、挿れてやるから力抜いてな」

そう言って郷嶋は腰に手を掛けるが、もはや青木の身体のどこにも
力など入っていなかった。情欲に濡れた瞳で早く、と催促する青木の膝裏に
手を回し、右足をグイと持ち上げて自身が挿入しやすい角度にすると、

「いくぞ、」

と一声かけ、そして郷嶋は少しずつ自身を青木の中に埋め込んで行った。

「あぁ…ッ!や、ぁん、ん、うぅ…」
「辛いか?」
「ぅうん…へ、いき…」
「なら…悦いか?」
「ひゃあんッ!うんっ!悦いよぅ、郡治、ぐん、あ、あぁ…!」

後半は一気に突き立てられ、その衝撃で青木の爪先はシーツの上を
引っ掻くように泳ぐが、郷嶋はそれに構わずぐいぐいと腰を進め、
根元まで全て収めた所で、漸くそれまで詰めていた息をお互い吐き出した。

「…全部入った。大丈夫か?」
「うん…平気だよ…」

そりゃ良かった、そう言って郷嶋は青木に口吻ける。
身体を繋げた後に口唇を合わせるのは、既に2人の間の儀式のようなものだった。
同性同士の性行為は、受け身になる方の負担がどうしても大きくなってしまうのは
仕方のない事ではあるのだが、郷嶋がそれを気遣って労うようにくれる小さな口吻けが、
今の青木にとっては何よりの歓びだった。相手の優しさに心の内側からゆっくりと
満たされて行く。それは正に、精神的快感だった。

「…郡治、有り難うね」

繋がった姿勢で青木がそうぽつりと呟くと、郷嶋は怪訝な顔をした。

「あん?何に対しての礼だよ」
「色々。色んな事、全部ひっくるめて」
「さっきの事か?」
「それもあるけど…僕を選んでくれた事とか、とにかく全部にだよ」
「馬鹿だな。礼なんて要らねぇよ」

馬鹿、と云う本来なら自分を罵倒する類の言葉の端にも、相手の
温かさを感じる事が出来る。それが堪らなく嬉しくて、青木は郷嶋の頭を
己の胸の中に抱き込んだ。なぁ、と郷嶋が口を開く。その肌に掛かる
吐息の振動がくすぐったくて、青木は思わずクスリと笑った。

「なぁに?そこで喋られると擽ったいよ」
「お前、俺達が同性同士だって事、気にしてるようだけどな」

そう言って郷嶋が顔を上げる。郷嶋はこんな時、決して相手の顔から
目線を逸らさなかった。最初の頃はそれが恥ずかしくも照れくさくもあったが、
今ではそんな相手の真っ直ぐな視線が愛おしかった。今なら自分は、
同じだけの強さで相手を見つめる事が出来る。その事実が青木には嬉しかった。


「…俺もお前もお互い、そうでなきゃ出逢えなかっただろ」


数年前に、あの場所で。
いくつもの偶然が、複雑に絡み合って。
あの日の事は、未だに昨日の事のように思い出せる。
決して素敵な出逢いとは言い難いそれは、それでも運命だったと思える程に鮮烈で。

「同性だからこそ、同じ目線で見える物とか、
 同じ感覚で感じる物とか、あるんじゃねえの」
「郡、」
「俺は…ちゃんと意味があると思ってるよ」
「郡治…」
「俺には、少なくとも俺にとっては、
  お前が“青木文蔵”だって事に意味があるんだ。分かるか?」
「…うん」
「結婚だの子供だの以前に、お前と俺が、お互いが今
 “ここに居る”って事に意味があるんだ。いいか、それだけは忘れんな」
「…、うん」
「俺はどこにも行かない。だから、お前もずっと此処に居ろ。いいな?」
「うん…ッ」
「馬鹿、」

泣くんじゃねえよ、その言葉が相手に正反対の作用を齎す事を、
果たして目の前の彼は気付いているだろうか。

しょうがねえなぁ、この泣き虫坊やは。
そう揶揄いながらくれる彼の口吻けは、少しだけ塩辛くて。
その幸福の味に浸されて、青木は体中が痺れた。





「ふ、あぁッ!あん、や、郡治、いい、気持ち、いいよぅ…!ああぁッ」

緩やかだった律動は徐々に激しさを増し、叩き付ける程の強さに変わる頃、
青木の眦から生理的なものと歓喜から来るそれとが混ざり合って、涙が一筋零れた。

「ああ、いいな、それ。俺に抱かれてる時に見せる涙なら、何度見ても良い。
 お前が、俺のものだって云う証みたいだろ」
「んぅ…あっ、して…!全部、僕の事、ぜんぶ郡治のものにしてよ…!」

白濁混じりの先走りを漏らしながら、青木は郷嶋の腰に己の両足をクロスさせ、
一分の隙も生じさせまいと身体を擦り寄せた。太腿で相手の腰を挟み込み、
脚と足とを絡ませ合う。繋がってぴたりと合わさった身体は、もう指一本通す隙さえ
無いと言うのに、青木は背中にきつく腕を回してもっともっとと更に強請った。

「ぅんっ…ねぇ来て、もっと側に来て…!」
「無理だよ。これ以上くっ付けねぇって」
「嫌だ…ッ!もっと来てよぅ…!意地悪云わないで、ねぇお願い…!」
「お前なぁ…」

全く、とんでもねぇ我が儘坊やだ、少し甘やかし過ぎたな、と郷嶋は一人ごちると
一旦腰を引き、自身が抜けるギリギリの所まで引き戻す。
その感覚に青木は慌て、相手の腰に絡めた自らの足に必死に力を込めた。

「嫌だぁッ!抜かないで…!ねぇ、行っちゃ嫌だよ…!」
「だから、どこにも行かねぇって、」


郷嶋は青木の腰を両腕でしっかり固定し、

「言ってんだろッ!!」

そのまま一気に、渾身の力で青木の最奥に自身を叩き付けた。

「あぁぁ―――ッ!!」

その予期せぬ衝撃に耐え切れず、堪らず青木はびゅくんっ!と勢い良く射精してしまう。
しかし郷嶋は動きを止める事なく、狂ったような激しさで何度も何度も腰を叩き付けた。

「やあぁぁッ!んぁ、ぁんっ!そんなにしたら、ダメ…!もう、壊れちゃうよ…ッ!」
「口で言っても信じねぇなら、身体で覚えさせるまでだ。壊れたら、俺が直してやるよ」
「んぅ…ッあ、や、激し…ッ!ひ、あぁッ!ねぇ、お願い…ッ」
「何をだ」
「あぁぁ…ッ!ねぇ、教えて、僕が郡治のものだって、
 ずっと一緒だって、僕の身体に教え込んで…!
  それで、もう絶対、ずっと消えないように刻み付けてよ…ッ!!」
「文蔵、」
「郡治が中毒だって言うなら、僕だってそうだ…ッ!
 もう、とっくに狂ってる、治らないんだからぁ…!!」

そう叫ぶと青木は、振り絞るような悲鳴を上げながら2度目の精を吹き上げた。
青木の放った精液は、密着した互いの腹に擦られてぬちゅぬちゅと淫猥な音を立て
ねっとりと泡立つが、それでも青木は腰を振るのを止めなかった。

「あはぁッ…ん、ふ、うぅん、悦い、死んじゃう…」
「ハハ、色情狂みてぇ。凄ぇ顔してるぞ、お前」
「あんッ、だって、郡治だから…!郡治だからだよぅ…ッ!!郡治だから、こんな…」
「…分かってるよ。お前がこんな風になるのは俺の前だけだ。そうだな?」
「うんっ!うん…ッ!」

青木はコクコクと必死に首を振る。そんな青木の頬を郷嶋は愛おしげに撫で、
涙と鼻水と唾液とでぐちゃぐちゃになった顔を指先でそっと拭ってやった。

「俺の前、だけだからな…!お前が、そんな風に乱れて良いのは…ッ」

郷嶋の口調からも余裕が消え、限界が近い事を物語っていた。

「あぁっ!はぁ・・・ね、頂戴…!郡治の全部、僕に全部ちょうだい…ッ!」
「ああ…!くれてやる、くれてやるからしっかり受け止めな…!!」

次の瞬間、深い深いストローク。
食いしばった歯の隙間から漏れる、郷嶋の呻くような声。
青木の最奥を満たす、確かな熱。

ぐちゃぐちゃで、
どろどろの、
乳白色の幸福。

それは郷嶋自身がずるりと引き抜かれると同時に、とろりと身体の外へ零れ落ちてしまう。

受け取る器官を持たぬ肉体。
そこから何も生み出せぬ身体。

それでも、受け止める事は出来るだろう。
2人で何かを作り出す事は出来るだろう。

「郡治は、あったかいね…」

きつく抱き寄せて、ぴたりと隙間を埋めて。

「…お前もな」

2人でいる事で、気付いたことがある。
2人でいた事で、築いたものがある。

その名は、『幸福』。
それだけが―――今の2人にとってのすべて。



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